チムとゆうかんなせんちょうさん 

  エドワード・アーディゾーニ作  せたていじ・なかがわちひろ訳               福音館書店

チムは8才の男の子。そのチムが、大海原を舞台に、「知恵と勇気と優しさ」で冒険をくりひろげる。

  モノクロのページもいっぱいある、地味で長そうな?お話。でも、この本にあなたの子どもが、むねおどらせて夢中になっているとしたら、彼(彼女)がこれから先いやおうなく出会うであろう困難にも、勇敢に立ち向かえる「生きる力」をこのお話の主人公チムとその友達と船乗りたちから受け取っていると思っていい。

  「船乗り」になりたいチムは、ある日憧れの船にただ乗りすることを思いつき、まんまと船に乗りこむことに成功する。しかし、当然船員に見つかり、船長のもとに連れて行かれ、そこからチムの波瀾万丈の船乗りとしての人生が幕を開ける。船員たちは「子ども」としてではなく、一人の「船乗り」として、チムを暖かく見守ってる。そんな中で、チムは「船乗り」として成長し、勇敢な活躍をしていく。

 「そういえば、我が家のチムもいつのまにかたくましくなったよなあ…」あなたの子どもをそんなちょっとした「敬意」をもってみてごらん。きっと勇敢なチムにみえてくるはず。

この本こそ、時間をかけて、あなたの声で、子どもに読んであげて欲しい。それが子どもといっしょに「お話」に出会うことになるから。そしてチムとその友達と船乗りたちは、読んでもらう子どもにだけじゃなく、読んであげる大人にもいっぱい伝えたいことを用意して待っているから。

成長していく子どもの姿はもちろん、大人としての子どもとの接し方、失敗の受け止め方、etc.もしかしたら、あなた自身の生き方にまで、語りかけてくれるものがあるかも。いい絵本は出会うすべての人に何か「いいもの」をのこしていってくれるからね。

「チム」シリーズ(全十一巻)                  順次刊行中

(対象 5才くらいから)

                     (むっちパパ)